加齢黄斑変性症
加齢黄斑変性症とは?
まぶたが下がってきて見にくくなっていませんか?
加齢黄斑変性症は網膜の中心部である黄斑部に新生血管ができ、そこから出た出血や浮腫のため、見ようとする中心部が見えにくくなる病気です。
元々日本人にはすくなかったのですが、社会の高齢化と食生活の西洋化のため増加してきています。
加齢黄斑変性症の原因
まぶたが下がってきて見にくくなっていませんか?
加齢黄斑変性症は網膜に栄養を送る脈絡膜という組織に新生血管という未熟な血管がはえてきて、出血や水漏れによるむくみを起こし、網膜の中心部である黄斑部を傷めてしまう病気です。加齢黄斑変性症には滲出型と萎縮型があります。
萎縮型加齢黄斑変性症は出血やむくみ(浮腫)などをおこさず、網膜色素上皮細胞が萎縮してゆっくりと黄斑部が弱っていくタイプです。こちらは病状の進行が緩やかで視力は急に悪くなることは稀です。
浸出型加齢黄斑変性症は出血や浮腫により急激な視力低下がおこるタイプです。病状の進行すると失明するケースもあります。また病気を起こしてないもう片眼も発症してくる場合があります。
日本人では浸出型が9割と多い状況です。
加齢黄斑変性症の症状
物を見る中心部が暗く見えにくくなり、視力低下と物がゆがむ変視症がおきてしまいます。
ただ片眼のみ症状がおきた場合ではなかなか気づかない場合があります。
そこでこのチェックシートで確認してみてください。
自己チェック
- 約30cm離れる
- 片目を閉じてマス目の中心の黒い点を見る
- もう片目で見る
もし歪みや暗い部分があるようなら眼科を受診してください。
ただ黄斑円孔、黄斑上膜、黄斑浮腫など他の病気の可能性もありますのでご相談ください。
加齢黄斑変性症の治療
加齢黄斑変性症の検査
加齢黄斑変性症の検査には以下のような物があります。
- 視力検査
- 細隙灯検査
- 眼底検査
- OCT(網膜断層撮影)
- 蛍光眼底撮影
- 自発蛍光眼底撮影
加齢黄斑変性症の治療
抗VEGF薬は脈絡膜新生血管の成長に影響するVEGF(血管内皮増殖因子)という物質の働きを抑える薬です。
眼の中に薬を注射することで、加齢黄斑変性症の原因である新生血管の増殖を抑えることができます。
硝子体注射による治療のやり方について
抗VEGF薬の硝子体注射はかなり安全なものの、感染のリスクを極力さけるため、当院では手術室で白内障手術と同様の装備で行います。
また手術前、手術後には3日間感染予防のため抗生剤の点眼をさしていただきます。
導入期では月1回白目の部分から眼の中に注射するのを3回、3ヶ月間繰り返します。
その後維持期では、眼の診察や検査で症状を見ながら必要に応じて注射します。
検査は必要に応じて月1回、視力検査や眼底検査、OCT(光干渉断層網膜撮影)などをおこないます。
光線力学療法
光線力学療法は最近登場した抗VEGF硝子体注射に第一選択の地位を取って代わられたのですが、抗VEGF硝子体注射に反応しない例や重症例に併用して使用する場合があります。
光に反応する薬剤(ビスダイン®)を体内に注射した後に病変部周辺のみに弱いレーザーを照射します。レーザーにより薬を活性化させ、新生血管と脈絡膜血管の活動性を落とします。継続的に行う治療で検査を続けていき、悪化すればまた同様にレーザーを行っていきます。
光線力学療法後は日光に過敏症をおこしてしまうので、入院をしてもらいます。また一週間は帽子、サングラス、長袖、ズボン、手袋をしてもらいます。
もう一つ問題なのが、レーザー後に出血がおきてしまう可能性があることです。
故に、リスクとメリットを考えて行っています。